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馬の蹄(ひづめ)に蹄鉄が必要なのはなぜ?蹄の手入れについても解説

馬の蹄

馬の蹄(ひづめ)には、蹄鉄(ていてつ)と呼ばれる金具が装着されています。蹄鉄を付けることには、いったいどのような意味があるのでしょうか?今回は、蹄鉄や馬の蹄について徹底解説します。初心者向けの疑問を解決しながら解りやすく説明するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

この記事を読むための時間:5分

馬の蹄(ひづめ)とは?

馬の蹄とは、草原を駆ける大型の草食動物の足先によく見られる、爪が変形したものです。速く走るために進化した結果生まれた部分であり、蹄がなければどれだけ体力や高い能力があったとしても、実力を発揮することができません。そのため馬の蹄は、「馬の第二の心臓」といわれるほど大切にされています。

また、馬は哺乳類の中でも「有蹄類」と呼ばれるグループに属する動物です。有蹄類は、漢字が意味する通り「蹄」を持っている動物全般を指します。馬の他には、牛やシカ、キリン、ゾウなどが、有蹄類の代表的な動物です。

馬の蹄はとてもデリケート

馬にとって非常に大切な蹄ですが、実はとてもデリケートです。蹄は元々爪だったため、爪と同じ「ケラチン」と呼ばれるタンパク質で作られています。そのままにしていると1ヵ月に1センチほど伸びてしまうため、短く整えなくてはなりません。

野生の馬であれば運動量が多いため、放っておいても自然と摩耗するものですが、飼育されている馬は定期的に蹄のメンテナンスを行う必要があります。また、蹄の裏側を不潔にしていると、そこに土や糞が溜まって病気になってしまう可能性もあるため、注意が必要です。

馬の蹄の役割

蹄は、馬の身体に大きな負担をかけないためのクッション機能を果たしています。蹄踵と呼ばれる部分に力がかかると、少し横に開いて蹄骨が沈み込みます。このように衝撃を緩和して、足への負担を減らしているのです。

また、馬の前足と後ろ足の蹄の形は異なり、それぞれ違う役割を果たしています。前足は横幅が広く、安定した方向転換をしやすい仕組みをしているのに対し、後ろ足は縦長で、前進する際に力を発揮できるような造りになっていることが特徴です。

馬の蹄がかかりやすい病気

ここでは、馬の蹄に起きやすい代表的なトラブルを見ていきましょう。なお、馬の蹄の表面を蹄壁(ていへき)と呼び、蹄の下部は前の方から、蹄尖(ていせん:つま先の方)、蹄側(ていそく:中央)、蹄踵(ていしょう:かかと部分)と呼ばれています。

裂蹄(れってい)

裂蹄とは、乾燥や過度な湿り、手入れ不足や、栄養不足によって、蹄が割れてしまう病気です。油を塗って乾燥を防いだり、蹄を削ったりなどのケアを行うことで、ある程度防ぐことができます。

蹄葉炎(ていようえん)

蹄葉炎は、血液循環が上手くいかず蹄に古い血液が溜まってしまうことで、蹄の内部に炎症が起きてしまう病気です。原因は様々で、発症のメカニズムははっきりと解明されていません。症状が進むと、蹄骨が剥がれ落ちてしまい激しい疼痛を伴います。

薬の投与や特殊な蹄鉄の装着などの治療法がありますが、手を尽くしても改善が見られなかった場合は、安楽死を選ぶケースも珍しくありません。

蟻洞(ぎどう)

蟻洞とは、乾燥や疲労、衛生状態が原因となり、蹄にある角質層の中に空洞ができてしまう病気です。蟻道は大きく分けて3種類あり、蹄壁が分離した状態を「単純型蟻洞」、白線裂から起こる蟻洞を「白線裂蟻洞」、蹄葉炎を起こしたことが原因となり発症したものを「蹄葉炎型蟻洞」といいます。

治療した後も、新しい蹄が伸びてくるのを待たなければならないため、本調子に戻るまでにはかなりの時間がかかってしまうでしょう。

挫跖(ざせき)

蹄でウッドチップや石などの異物を踏んでしまった際や蹄同士がぶつかった際に、蹄底に内出血が起きることを挫跖と呼びます。馬が使用する歩道や走路は、異物が落ちていることのないようにしっかり掃き掃除をしておきましょう。

冷やしたり消炎剤を使用したりして治療を行い、様子を見るのが一般的です。自然治癒することもあり、ほとんどの場合予後は悪くありません。

蹄叉腐爛(ていさふらん)

蹄叉のへこんだ部分に糞や土などの汚れが詰まった状態が長時間続くと、化膿してしまうケースがあり、これを蹄叉腐爛といいます。最初のうちは判断がつきにくいですが、重度になるとその部分から感染症を引き起こしてしまいます。日々のケアを欠かさなければ十分に防げる病気なので、しっかりお手入れをしてください。

馬の蹄をお手入れする際のポイント

馬の蹄をケアする場合は、大きめのブラシを使って足回りの汚れを落としていきます。その際、お湯ではなく水を使用しましょう。お湯を使うと、蹄が弱くなってしまいます。また、濡れた蹄は洗い終わった後、タオルできちんと拭いてあげてください。濡れたまま放置していると、これも蹄がもろくなってしまう原因になります。

タオルで水気を拭き取った後は、蹄専用のオイル(蹄油)を塗ってケアしましょう。ただしこのオイルは、気象条件などによって塗らない方が良いケースもあります。自分で判断するのが難しい場合は、詳しい人に相談してみてください。

蹄鉄(ていてつ)、馬蹄(ばてい)とは

馬蹄

蹄鉄とは、馬の蹄を守るために取り付ける保護具のことです。馬の足先に合わせたU字型が特徴的で、鉄またはアルミニウム合金で作られています。一方馬蹄は、馬の蹄を保護するものをひとまとめにした呼び方です。

馬に蹄鉄を付けるのはなぜ?

馬に蹄鉄を装着する目的は、蹄の保護と運動能力の向上です。競馬や乗馬では、人間を乗せて走るため、足や蹄に負担をかけてしまいます。蹄鉄をつけることで蹄をカバーできるため、蹄が裂けたり削れたりしてしまうことを予防できます。つまり蹄鉄は、人間の靴と同じ役割を果たしていると考えても良いでしょう。

また、蹄鉄をつけると、地面を蹄でしっかり蹴ることができます。思いっきり蹴ることで踏み込みが安定して、より高く飛べるようになったり速く走れるようになったりするため、競技に有利になるのです。

蹄鉄の付け方

蹄鉄は、蹄に直接釘を打って装着します。蹄は複雑な造りをしており、神経の有無によって痛みを感じる場所と感じない場所に分かれています。釘を打つ際は神経の通っていない場所を選んで取り付けるため、痛みを感じることはありません。蹄鉄を取り付けたら、蹄鉄を削ったり切ったりして微調整を行います。

蹄鉄を外すこともある?

ひと昔前までは、レース以外の時間は蹄鉄を外して過ごさせていました。しかし蹄鉄の着脱を頻繁に繰り返すことで蹄がダメージを受けてしまい、蹄壁欠損を引き起こすことがありました。そのため最近では、一旦蹄鉄を装着すると数週間はそのままにしています。爪が伸びて蹄鉄が合わなくなったタイミングで付け直すなど、着脱の回数は最低限に留めるのが一般的です。

レース中に蹄鉄が外れたらどうなる?

レースに出場する場合、すべての馬が蹄鉄を装着することになりますが、運動強度と体重の負担により、釘を打って装着した蹄鉄も外れてしまうケースがあります。

芝コース内で蹄鉄が外れることを「落鉄」と呼び、一般的には装着し直しますが、馬が落ち着かない様子で取り付けられないなど、レースの時刻に影響及ぼす可能性がある場合には、蹄鉄を付けないまま出走するのが一般的です。また、レース中に提出が外れた場合は、レースはそのまま続行されます。

蹄鉄は馬の蹄を守るのにとても大切

蹄鉄は、馬の蹄を保護したり運動能力を高めたりするなどの大きな役割を担っています。また、蹄専用の装具があるだけあって、蹄は非常にデリケートで大切な部分です。常に入念にケアして、馬が快適で安全に過ごせるよう常に注意を払っておきましょう。馬と関わる機会を持ったら、ぜひこの記事内容を参考にしてみてください。

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