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繊維産業と商社の関わりと変遷

アパレル業界を支える繊維産業。日本の商社はそのほとんどが繊維事業から始まり業績を拡大してきました。

どのような変遷を辿ってきたのでしょうか⁉

近代貿易商社の成立

明治20年前後に相次いで設立された近代的紡績業は大量の綿花輸入を必要としました。

明治政府主導による近代国家政策の産業革命によるものです。

早急に近代的欧米的な資本主義国家を作るために、特定の民間企業や商人(政商)に特権を与えて近代産業の育成を図りました。

綿花輸入機関としての綿花商=近代貿易商社の成立、が商社の原型となっています。

伊藤忠・江商・東綿・日綿実業・丸紅の5社は繊維商社を源流とする綿関係の貿易により発展してきたもので、戦後、五綿商社と言われました。

総合商社への変化

綿花輸入は綿花の国際性・多様性から、品種の選定・買い付け等に特殊な知識と経験・設備を有するため、これら一部の専門商社に取引が限定されました。

その後、日本の繊維産業と商社は業績を順調に推移させていきます。

しかし、昭和12年頃に国際関係の悪化により、軍需物資の優先的輸入を行うための輸入許可制を実施。綿花輸入が抑制されることとなったのです。

各商社の取った打開策の一つは、新分野を積極的に開拓することでした。

業種に関係なく総合的に商品を取り扱う総合商社の原型がこの時期にできたことになります。

そして商社の取扱商品の多角化は物資不足の戦時統制下において、急激に推進されることとなったのでした。

繊維商社の多角化は海外支店の設置が一つの転機となり、これを売買拠点として商品的にも地域的にも発展していきました。「綿関係から繊維品に」「繊維品から非繊維品へ」と取り扱いを拡大していきます。

世の中の主流産業の変化と共に、さまざまな複合的要因が上手くかみ合ったうえで、繊維商社の総合商社化が進んでいきました。

時代の波に上手く乗った、とても面白い推移だと思います。

現在では、総合商社に商社に繊維事業部隊が無くなってきていることが、主流産業の変化を感じ取れる部分です。繊維事業は価格下落が大きく利益が取れなくなってきているため、再編/統合/合併という形で切り離す商社が増えてきている傾向があります。

この傾向は、そもそも日本の商社の在り方が問われているのではないかと感じることがあります。その改革の先鋒として白羽の矢が立つのが繊維事業であっただけなのではないでしょうか。世界との戦い方が変わってきており、商社は改革の一手を求めている。

コロナ禍を境に時代はさらに変わりました。個人レベルの小さな力でも、イノベーションを具体化して世界に出ていける時代です。

これからの繊維アパレル業界は、「温故知新」と「不易流行」の新しい時代のバランスが分かる人が、新しい業界の潮流を作っていくのではないでしょうか。

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